用字用語集

記者ハンドブック・新聞用字用語集
共同通信社編・刊
日本語の正しい表記と用語の辞典
講談社編・刊


毎日新聞社や朝日新聞社などからも同様な用語集が出ているが、それらとくらべると、共同通信社版はレイアウトがゆったりしていて読みやすい。ただし、そのぶんやや大きく厚くなっている。

用字用語については、各社版とも大差ないが、共同版には巻頭に「記事の書き方」という項目がある。わずか3ページなのだが、じつに簡潔に「記事の書き方」が述べられていて、これだけのために1785円払っても損はない。読みやすさとあわせ、共同版をおすすめする。

出版社の講談社からも『日本語の正しい表記と用語の辞典』という類書が出ている。こちらは新聞社系とは、ずいぶん趣がことなる。新聞社・通信社は、全記者、全記事で表記を統一しようとするのにたいして、出版社は、雑誌や書籍ごとに、テーマ・レベル・年齢など、読者層によって、用字用語を使いわけているからだ。

極端ないいかたをすれば、新聞社は、用字用語を「こう表記しなさい」と「規定」しているのにたいして、出版社は「指針」しているだけなのだ。その指針も「こういうやりかたでもよい」と、複数しめされ、最終的な判断は、担当編集者(編集責任者)自身にゆだねられている。漢字の使用制限もない。

これでは、アマチュアの人には、かえって使いづらいと思うが、こちらのほうが性にあう、という人もいるかもしれない。書店で実際に手にとって、よく見くらべて購入していただきたい。個人的には、講談社版は、漢字の多用をいさめ、ひらがな書きをすすめているので、好きである。

なお、これら「用字用語集」は、「表記を統一する」「誤用しない」「わかりやすい文を書く」際の基準をしめしているのであって、けっして、「これがぜったいに正しい」「こうしなければならない」といっているわけではない。とくに、新聞社版の漢字制限やいいかえには、しばられることはない。また、ことばの意味を知るには、別に国語辞典や用語事典が必要である。

*表紙写真の『記者ハンドブック』は第7版(1994年)、『日本語の正しい表記と用語の辞典』は初版(1983年)のものです。